メタデータ

デジタル画像の基礎

真贋鑑定の肝、メタデータとは

JPEGのところですこし説明しましたが、画像のイメージデータ本体以外のデーターをメタデータ(データのためのデータ)と言います。画像ファイルだけでなく、エクセルファイルやPDFファイルにもメタデータはついています。(ユーザー名、作成日、更新日、保存場所などが記録されている)

画像のメタデータ は、Exifが有名で、おおまかに知っている方も多いと思います。画像を補正・改ざんすると Exif データ内だけでなく色んなセグメントに情報が書き込まれます。特に画像加工ソフトの標準的な存在のAdobe Photoshopで加工保存した場合、 Adobe社が制定したセグメントに情報が書き込まれます。

この画像メタデータを分析する事で真贋がはっきり分かります。つまりこのページで説明している内容はは真贋鑑定の最重要ポイントです。

メタデータを見るには

鑑定に役立つセグメント(タグ)

XMPセグメント ( APP1 )

XMP表示の例

まず最初に、XMP(Extensible Metadata Platform)タグです。 Adobe社 が規定した形式です。
APP1に書かれるXMPセグメントは、いわばExifの隣に書かれています。 Adobe社のソフトウエア(PhotoShopだけでなく)で出力したJPEGファイルに、このセグメントが記録されます。記載されているのはXML形式で加工ソフトウエア情報・加工日などが記録されています。 XML形式 は下の引用を参考にしてください。ただしそれほど重要項目ではありません。

上(左)の画像「XMPの例」はIllustratorでJPEGに書き出した画像のメタデータの一部です。赤線の部分にAdobe Illustrator CC22.0(Windows)とあるのがお分かりいただけると思います。
別に説明しますが、 「XMPの例」の上部にPhotoshopというタグがあるのが見て取れると思います、これは、 Adobe PhotoShopで加工した画像 を示しているのではなく解像度のデータです。混同しないでください。

Adobe のソフトウエアだけでなくXMPタグにデータを書き込むソフトウエアも存在します。代表的な物は、AppleのiPhone(顔認証)およびQuicktimeはXMP情報を書き込みますが、 Adobe社ソフトが書き込んだものと比較した場合、数行しかなく内容が全く違います。

XML形式とは

XML 形式XML (Extensible Markup Language) は、構造化されたデータを交換するための言語です。XML は厳密なファイル形式ではなく、複数のグループがデータ交換に使用することができる合意済みの形式を定義するための言語です。多くの個人、組織、および企業が、XML を使用して製品情報、取引、在庫データなどの業務データを転送しています。

FileMaker Proヘルプより

つまりこのXMPセグメントがあって中身がAdobe社の形式であれば、 Adobe のソフトウエア(PhotoShop だけでなく)で加工・保存されたものと見なして良いでしょう。

残念ながら、Exifイレーサーなどで Exif 情報を消すとXMPセグメントも消えてしまいます。

APP12セグメント

APP12セグメントは過去デジカメが出始めた時、メーカーの一部が撮影情報を書き込んでいました(Exifの代用?)真贋鑑定に役立つのは、Adobe社が制定した規格でAdobe DuckyセグメントというタグがAPP12セグメント内に書かれています。
鑑定の実例で紹介しますが、簡単に説明すると Adobe PhotoShopで加工した画像を保存する時、普通の保存や別名で保存ではなく「書き出し」→「WEB用に保存(従来)」の方法で保存した時にこのタグが書き込まれます。 Adobe save for web(Ducky)と特徴的なセグメント名称で圧縮率が書かかれます。赤枠の部分

「WEB用に保存(従来)」 した時は、Exifデータが削除されます。WEBサイトに掲載用など、少しでもデーターを少なくしたい時に使われる書き出し方式です。

なおこの APP12 セグメント (Ducky) は Adobe社が 規格を公開していないので詳細は不明です。ただこのタグが存在する場合、 Adobe 社のソフトウェアで WEB用に保存されたと判断できます。

APP14セグメント

APP14はAdobe セグメントとも呼ばれ、色空間情報やDCT(離散コサイン変換)の情報が書かれています。 色空間情報は異なるデバイスで大きく表示する色が変わるのを防ぐために用いられます。このため Exif 削除ツールやWEBにアップロードしてExifデータが無くなっても APP14は 残ることがあります。

つまりこのタグがある場合も、Adobe社のソフトウエア(PhotoShop だけでなく)加工・保存されたものと見なして良いでしょう。

ICC_Profile(APP2セグメント)

iPhone7 Pulsの例

前項で書いたように、色空間情報は異なるデバイスで大きく表示する色が変わるのを防ぐために用いられます。このため Exif 削除ツールやWEBにアップロードしてExifデータが無くなって もICC _Profileは、ほぼ残ります。(削除すると大きく色の見え方が変わる恐れがあり削除しないと思われます)
このタグの情報からどのようなカメラで撮影されたかや、補正処理の片鱗が見える場合があります。特に色空間の表示で、iPhoneやiPadのカメラで撮られた画像であるということがはっきり分かります。 Profile内にAppleの記入が複数あり、赤線の部分Display P3 (下記参照)という表示が見えます。この2点で iPhoneやiPadのカメラで撮られた画像だと言えます。ただしiPhone7以前の機種では Display P3 Profileは 採用されていませんでしたので注意が要ります(推定は出来るが断定には弱い)なお、画素数で機種が推定できることもあります。

現在のApple製品は、Display P3(DCI-P3) という色空間が使われています。(iPhone7以降)sRGBよりより約25%広い色域を表示できるようですが、全て対応した製品(Apple製品?)で揃えないと真価を発揮しません。 Apple社 (DCI-P3) 、Adobe社(Adobe RGB)、Microsoft(sRGB)と別々に規格を制定しているわけです。メーカー各社の思惑があるのでしょうが、あまり良い状況では無いと思います。国際規格である sRGB に統一もしくは統一の上位規格を制定してほしいものです。(余談です)

つまり、 ICC _Profile の記述のなかに Display P3(DCI-P3)という記載があれば Apple製品 で作られた画像(撮影された)ということになります。日付や画素数で iPhoneやiPad の機種名がおおよそ分かる場合もあります。