実例2

事故車両の画像の分析例です。IPhoneで撮影した車両画像に、傷を合成してリサイズした物が今回使う画像です。

A,元画像
B,合成画像

実例1と同じで最初に、B画像のプロパティ、詳細を確認します。プログラム名も撮影日時も何もありません。

この時点で分かるのは、何らかの方法でExifデータ全部か一部かが削除されています。また幅800ピクセル高さ600ピクセルの表示が読み取れます。最近のデジカメ撮影サイズを考えるとサイズ変更されています。

fotoforensics.comサイトにデータをアップロードしてメタデータを確認します。このB画像はExifデータはsRGBの一行しかなく、ICC_Profileの情報が沢山あります。注目すべきはAPP14タグ(見出し)があることです。

このようなメタデータになるのは、Exifデータ削除ユーテリティで処理された場合によくあ起こります。撮影情報やGPS情報は邪魔なので削除しますが、色に関する情報類APP14=Adobe セグメント ・ ICC_Profileはデバイスが変わっても大きく色が変わらないように、削除しない仕組みにしているようです。
APP14 の説明はこちら

このB画像のメタデータ に対し、言えることは

  • Exifデータ が削除されている
  • イメージサイズから見てデジカメで撮影されたオリジナル画像ではなく トリミング かサイズ変更されている。
  • APP14タグが存在し、Adobe社のソフトウエアで書かれた形式である

結論的にB画像は、Adobe社のソフトウエアで加工され Exifデータ削除ユーテリティで処理されている。(加工した痕を消すための可能性が高い)

さらに確認のため、29a.chサイトに B画像をアップロードします。 ここでもまずこの画像のどこが重要なのかじっくり観察します。
(ただしMagnifierツール(虫眼鏡ツール)で拡大画像を見ても、合成画像であると判断するのは、なかなか難しいと思います。)

念のため一応クローンツールで確認しておきます。特に同一画像内でスタンプツールなどが使われた形跡はありますん。

ここからが重要なエラーレベル分析です。パラメーターの数値は初期設定のままで見た場合、特に問題となるような箇所は見えません。

エラーレベル分析では、画像加工ソフトの保存処理、JPEGの特質として輪郭部は、劣化が進み白くざらついた表示になります。木々の葉や動物の毛などは細かい輪郭が沢山あることになり、B画像の上部背後の木々のように白くざらついた表示になっています。他の画像でも同じです。

パラメーターの数値を変更して見ます。赤い矢印の所が少し変わってきました。元画像との比較や、 パラメーターの数値を極端に変更したりしてよく観察します。

前輪の上部と横の傷の部分の エラーレベル表示がわずかに他と違うのが見て取れます。
ヘッドライトの下の、やや赤い部分は元画像を見る限り合成画像では無いようです。

傷の部分の拡大スクリーンショットです。パラメータは前の画像とほぼ同じです。傷・凹み部の劣化とボディ部の劣化度(ざらつき具合)がわずかに違います。

つまり傷・凹みの部分は何らかの加工が施されている可能性が高いと判断できます。

見極めが難しいと思います。 fotoforensics.com のチュートリアル内のトレーニングを一度目を通しておくことをお勧めします。